起業と情熱のあいだ
宗教家にはパワフルな人が多い。
その宗教家のパワーの源は情熱である。
そしてその宗教家の情熱は、この世のひとつ上の意味に気づいたことにその源泉を有する。
宗教家は、彼(彼女)が気づいたこの世の意味を中心とする世界観を形成し、たとえそれが幻想に過ぎないとしても、その世界観にしたがってこの世のできごとを解釈していく。その解釈と世界観に住まう他の者たちを信者と呼ぶ。
ひとつ上の意味に基づく世界観によって導き出される個々の解釈がいかに滑稽なものであっても、それが一つの「世界」を構成している以上、他の世界観の持ち主が個々の誤りを指摘しても宗教家も信者も揺らぐことはない。
新興宗教の信者を脱会させる試みの困難さの理由はここにある。
--------------
起業家もまたパワフルな人が多い。
その起業家のパワーの源もまた情熱である。
では起業家の情熱は何に由来するのか?
それはこの世のひとつ先の世界に気づいたことにその源泉を有する。
起業家は、彼(彼女)が気づいたひとつ先の世界を構成する事業を具体化し、この世のできごとを変えていく。このような起業家をビジョナリーと呼ぶ。
起業家が目指すひとつ先の世界はもちろん、実現しないかもしれない。ただの妄想かもしれない。あるいはひとつではなくふたつ先の世界で一足飛びに実現することはなく、あえなく失敗するかもしれない。
だが
実現するかもしれない。
妄想が現実に、変わるかもしれない。
起業の困難さと悦びはここにある。
--------------
あなたには実現したい世界がありますか?